【旧朝倉邸勉強会】旧朝倉家住宅 建設経過の推定


T04 朝倉虎治郎氏 東京府会議員に初当選

T05 朝倉徳次郎氏 没 月日不明

    当時、現アネックスの場所の隠居所に居住(「猿楽雑記」)
                     妻ナミ氏はM42に先立っている(同上)


「猿楽雑記」p.19 徳次郎氏隠居所
道路の勾配から、地蔵堂の前あたりから撮影したと思われる

 隠居所の建築時期 推定 M42


      M42 地形図にそれらしい建物が見える

【追記】21/03/03

2019年11月9日~12月8日に開催された
記念展覧会「HILLSIDE TERRACE 1969-2019 ―アーバンヴィレッジ代官山のすべて―」

に、槙文彦氏によるヒルサイドテラスの計画・設計のために行われたと思われる昭和43年5月23日調査の
「渋谷区猿楽町三七番地 現形実測図」
が展示されていた。
同図の右下(南東)隅に「朝倉徳次郎隠居所」が、この時期にまだ存在していたことがわかった。

 


      都市整図社 火災保険特殊地図 上目黒1935年 No.13

右上が朝倉家住宅一帯
















      M42 虎治郎氏が徳次郎氏から朝倉精米所西の土地を購入

      M41 虎治郎氏が売主不詳(推定徳次郎氏)から同東の土地を購入
            虎治郎氏が家督を実質的に譲り受けたことになる
                           (「鈴木報告書」末尾) 
 旧くなった、あるいは、手狭になった、旧徳次郎氏本宅(現HST:A棟。上図では「共託社社屋」)に代えて、政治家としての事務所を兼ねた、家の新築を計画したと思われる。
   T05年中に、どこまで進行したかは不明だが、せいぜい
 
         ・敷地の伐木
         ・敷地の造成
                      西側は、目黒川崖線の急傾斜地に盛土している
一定期間(理想的には10年といわれる)経過して地盤が
落ち着くまで建物は建てられない
 現に、不同沈下の兆候がある(「渋谷区報告書」)
         ・用材の手配
 
                      棟札(「猿楽雑記」)に「木挽」の名があがっている


 
                                  ←製材された木材を購入するのなら不要な職方
                                  用材(の多分一部)を、ほぼ原木を切り出した状態で入手したこ
             とを示す
     参照:http://www.geocities.co.jp/SweetHome-Ivory/2387/Kikigaki/Oga.htm
               おそらく、既成材では入手が難しいとおもわれる、「杉の
               間」の、杢目を現しにした部材を調達するのが主な目的だ
               ったのではなかろうか
                                  この場合、
               木材から板や柱等に挽いた後、木を一定期間放置して乾燥
               させて状態でないと、後で狂いが生じる
 
T06     とくに手がかりなし
 
           ・敷地造成の継続
           ・木を乾燥のために寝かす
           期間だったのではなかろうか

 T07    6月に「本宅新築仕払控」記載開始(「猿楽雑記」口絵)
           3行目 7月31? 石留 との記載
                      棟札 2行目の 工 高田吉 と思われる
                  ←後述のように、4行目 材木運ちん 7行目 コヤガケ とあることから普請初期
                →基礎の石(下図の赤矢印)の敷設が完了したので、いわゆる「材工共」で支
        払った、請負代金と思われる



          
           7行目 9月? コヤガケ 七人
                      4行目に 材木運ちん とあることから
                                     大工が、木材同士の接合部(仕口・継手)などを細工(刻
              み)するための、作業小屋の建築と思われる
                      ∴このころから本格的な普請が始まったことになる
 
T08     3月18日 棟札
                         上棟(鳶職が、建物の躯体を組み上げ、最上部の棟木を載せる)時に
          通常作られ、後に小屋裏(屋根裏)に納めるのが通例
          続いて、
          垂木、野地板を屋根に載せ
                         瓦を葺く
                                ↑雨でも、建物内部の造作が支障なくできるように、真っ先に瓦を
            葺くのがセオリー

   通常の工程であれば、年末には竣工するはず
           ただし、襖、板戸などの絵

    
             は、一旦建具が収まってから着手するのが合理的なので、それら
            の装飾については9年ごろまで完成がずれ込んだ可能性が高い
 
 

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